こんにちは!磯瑞ひよりです。
「退職したはいいけどまず何をしよう」というときにやっておきたいことについてご紹介します。
失業手当とは何か?給付は受けないほうがいいのか?
という疑問を解決していきたいと思います。
失業手当(失業給付)
「失業手当(失業給付)」という言葉自体は俗称で、正式には雇用保険における失業等給付のうちの「基本手当」という名称です。
ですが一般的に通った言葉ですので、当サイトでは失業手当と呼称いたします。
雇用保険について
まず雇用保険とは何か、確認していきます。
労働者の生活及び雇用の安定と就職の促進のために、失業された方や教育訓練を受けられる方等に対して、失業等給付を支給します。また、失業の予防、雇用状態の是正及び雇用機会の増大、労働者の能力の開発及び向上その他労働者の福祉の増進等をはかるための二事業を行っています。(厚生労働省ホームページ)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/koyouhoken/index_00003.html
1.労働者が失業してその所得の源泉を喪失した場合、労働者について雇用の継続が困難となる事由が生じた場合及び労働者が自ら職業に関する教育訓練を受けた場合及び労働者が子を養育するための休業をした場合に、生活及び雇用の安定並びに就職の促進のために失業等給付及び育児休業給付を支給
2.失業の予防、雇用状態の是正及び雇用機会の増大、労働者の能力の開発及び向上その他労働者の福祉の増進を図るためのニ事業を実施する、雇用に関する総合的機能を有する制度です。(ハローワークインターネットサービス)
https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_summary.html
企業に雇用されていて、継続的に一週間あたり20時間以上勤務している人は加入しているはずです。
給与明細にも「雇用保険」の項目があると思いますので、一度確認してみてください。
つまり、
「雇用されている人全員が保険料を支払う」
「雇用保険料を支払っていた人が働けなくなったときに、集めた保険料から支援する」
というシステムです。
その支援の形の一つが、失業等給付のうちの基本手当=失業手当ということです。
失業手当について
失業手当についてもハローワークのHPに詳細が記載されています。
雇用保険の被保険者の方が、定年、倒産、契約期間の満了等により離職し、失業中の生活を心配しないで、新しい仕事を探し、1日も早く再就職していただくために支給されるものです。
https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_basicbenefit.html
ここの「1日でも早く再就職」という言葉がポイントです。
雇用保険の基本的な考え方としては、支援する場合は職場へ復帰することが前提となります。
したがって、失業手当を受給するにしても定期的に求職活動をしている実績が必要です。
そして「失業の状態」を維持し続けている必要もあります。
「失業の状態」とは、
ハローワークに来所し、求職の申込みを行い、就職しようとする積極的な意思があり、いつでも就職できる能力があるにもかかわらず、本人やハローワークの努力によっても、職業に就くことができない
https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_basicbenefit.html
という状態のことです。
傷病手当金と並行して受給ができないのは、上記の「いつでも就職できる能力がある」という部分に該当しなくなってしまうからです。
病気やケガで働けないから傷病手当金を受給しているのであれば、失業の状態ではないということですね。
逆に傷病手当金を受給できない状況であれば、失業手当を受給できる可能性があります。
傷病手当金を受給しないとなったら、退職後離職票が手元に届き次第すぐにハローワークへ相談に行きましょう。
実際には受給資格の有無や、給付日数などもその人の雇用保険加入状況で変わってきますので、わからなければハローワークで相談してくださいね。
給付を受けることでのメリット・デメリット
仕事をやめてもある程度の収入が見込めるので、一見良いことのように思えますが、絶対受給しなければならないということでもありません。
逆に受給したことで発生しうるデメリットについても述べていきますので、よく考えて受給の可否を判断してください。
メリット
言わずもがな、働かずにいくらかの収入が見込めることですね。
金額としては、大体傷病手当金と同じくらいの「退職前の給料の6割程度」が目安になります。
働いててもギリギリの生活の方には、やや不安の残る金額かもしれません。
しかし受給しなければ0円ですから、無いよりはあった方が良いですよね。
デメリット
デメリットとしては、失業手当を受給することで雇用保険加入期間がリセットされてしまうことが挙げられます。
「雇用保険加入期間のリセットって何?再就職したらそんなすぐ辞めないよ」
となると思いますが、実は結構身近な問題だったりします。
特に女性が受給することの多い「育児休業給付金」も、雇用保険からの支援の形の一つなのです。
雇用保険からの支援を受けるには、被保険者期間が12ヶ月間必要です。
つまり、働いて雇用保険料を支払っている期間が一年以上無いと、支援を受けられません。
この条件を満たすのは簡単なように思えるかもしれませんが、
失業手当を受給すると被保険者期間がリセットされるので、受給後に雇用保険料をまた12ヶ月払わないと、他の支援も受けられなくなるのです。
例えば、失業手当を受給してから再就職した女性が、再就職先で働いていたら妊娠が判明したとします。
育児休業に入り育児休業給付金を受給したいと思っていても、再就職先での雇用保険料支払いが12ヶ月に達していないと育児休業給付金を受給できません。
育児休業給付金は復職までの育児休業期間の生活を支援する目的の制度で、子どもが1歳になる前日まで休職前給与の67%の金額がもらえます。
退職することなく雇用保険の恩恵を得られますし、何より仕事と子育ての両立を支援してもらえるのでぜひ利用したい制度です。
そんな素晴らしい制度を、失業手当を受給してしまったばかりに利用できなくなるのはちょっともったいないですよね。
子どもは授かりものですし、いつ育休に入るのかまで計算することは難しいですが、
近いうちに子どもが欲しいと考えている場合には、失業手当を受給しないほうが良い場合もあるということを覚えておいていただければと思います。
育児休業給付金でなくとも
「すぐに就職できる見込みがあるけど、辞めてまた失業手当を受給したいと思うかもしれない」
「資格を取りたいから教育訓練給付制度を利用したい」
という場合にも、失業手当の受給は考え直したほうが良いかもしれません。
失業手当は再就職したらもらえなくなります(再就職手当というものもありますが、条件付きです)。
教育訓練給付制度も被保険者期間が12ヶ月必要ですし、こちらは退職していなくても利用できる制度です。
その後1年間の自分の身の振り方をよく考えた上で、雇用保険の制度を賢く利用していきましょう。
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