こんにちは!磯瑞ひよりです。
返還期間が20年もある日本学生支援機構の奨学金ですが、
仕事を辞めたり休んだりするときは思い切って猶予や減額の制度を活用すると、生活も気持ちも楽になります。
将来的に収入に余裕ができたら繰上返還もできるので、
休職中・失業中で経済的に厳しければ検討してみましょう!
具体的な申請方法はこちら↓
返還猶予・減額返還制度の概要
奨学金の返還を遅らせる方法には2種類あります。
返還そのものを一定期間お休みする=猶予してもらうものと、
1/2や1/3だけ返還を続けることで返還期間が長くなりすぎないようにできるものがあります。
返還期限猶予について
日本学生支援機構の公式HPでは以下のように記載があります。
災害、傷病、経済困難、失業などの返還困難な事情が生じた場合は、返還期限の猶予を願い出ることができます。
https://www.jasso.go.jp/shogakukin/henkan_konnan/yuyo/index.html
たとえ働いていても、毎月3万円ほどの返還だとしたら
新卒2~3年目くらいまでのお給料では、奨学金の返還金額が家計を圧迫してしまうと思います。
そういった事情を考慮しているのか、返還猶予の「経済困難」事由での条件がそれほど厳しくなっていません。
給与所得者年間収入金額(税込) 300万円以下
https://www.jasso.go.jp/shogakukin/henkan_konnan/yuyo/ippan/keikon/index.html
給与所得以外の所得を含む場合年間所得金額(必要経費等控除後) 200万円以下
補足ですが「収入」とは社会保険料や税金を引く前の金額であり、
「所得」とは社会保険料・税金等の必要経費を引いた手取りの金額のことです。
初任給が20万円だとして、賞与が2ヶ月分支給されたとしたら
200,000×14=2,800,000
上記の条件をクリアできる金額です。
月給20万円は大卒初任給の平均的な金額ですが、
奨学金の返還をすることを考えると、十分とは言えない収入であると機構側も認識しているということですね。
2年目には昇給もあるかもしれませんが、住民税の天引きが始まりますので、
逆に手取りが減ってしまう場合も珍しくありません。
つまり、普通に働いていても返還するのが厳しいのは当たり前であって、
退職して失業したり休職で収入が減ってしまったら、なおのこと返還が難しくなります。
筆者も収入が少ない時に返還猶予制度を利用し始めて、
経済的にも精神的にも、ものすごく楽になりました!
見栄を張らずに、もっと早く申請して利用しておけばよかった…
自分のお給料で生活すること・家計を管理することに慣れて、
十分な安定収入を得られるようになってから返還を始めるほうが無理がないですね。
何より返還できずに別の金融機関で借金したら、そちらの方が高くつきます。
切羽詰まって無断で延滞してしまうことを避けるためにも、無理せず猶予制度を活用してみましょう。
返還猶予のデメリット
返還猶予制度を利用する上で、あえてデメリットを挙げるとするなら
「猶予した期間の分だけ返還完了までの期間が伸びる」という点です。
当たり前のことではありますが、猶予してもらっているだけで免除されたわけではありません。
1年間猶予したら、返還完了するまでの期間が1年分後ろ倒しになります。
しかし退職して失業してしまっていたり、休職していて十分な収入が無い状態で返還を強制するほど日本学生支援機構も鬼ではありません。
きちんと申請すれば、返せるようになるまで待ってくれますから、
収入が減ってしまったり生活が苦しければ、ぜひ返還猶予制度を検討してみてください。
減額返還制度について
「毎月の返還が苦しいけど、将来のことを考えると返還完了までの期間が伸びるのは気になる」
という場合には、1/2や1/3だけ返還を続ける減額返還制度もあります。
減額返還制度は、災害、傷病、その他経済的理由により奨学金の返還が困難な方の中で、当初約束した割賦金を減額すれば返還可能である方を対象としています。
https://www.jasso.go.jp/shogakukin/henkan_konnan/gengaku/index.html
減額返還制度では、返還猶予と異なり返還そのものは続けていますので、
猶予を利用したときに比べて、完済までの期間が短くなります。
もちろん毎月満額返還するよりは遅れてしまいますが、猶予するよりインパクトは小さいです。
「返還しないことに抵抗があるけど正直きつい」という時に、検討したい制度ですね。
しかも返還猶予よりも、減額返還利用の場合の収入の条件が緩和されています。
経済的事由の場合は、目安として所得証明書等の年間収入金額325万円以下(給与所得以外の所得を含む場合は年間所得金額225万円以下)です。
https://www.jasso.go.jp/shogakukin/henkan_konnan/gengaku/joken.html
「返還猶予を利用したくても、収入の条件が基準以上で申請が難しそう」
という場合にも、減額返還なら申請が通るかもしれません。
減額返還のデメリット
返還猶予と毎月満額返還の間を取っているので、デメリットも中間くらいの影響になります。
「減額した期間の分だけ返還完了までの期間が伸びる」という点です。
また、何らかの事情で本当なら返還猶予を利用したいくらいなのに
審査が通らず減額返還になったりした場合は、毎月の返還が苦しいかもしれません。
しかし半額以下の返還になるだけでも、余裕がほんの少しできるだけで見える景色がガラッと変わります。
冒頭にも述べましたが、収入が上がってから繰上返還して返還期間を短縮することもできます。
そういったことから、筆者としては減額返還制度の利用には大きなデメリットは無いと考えています。
返還猶予や減額返還で固定支出を一時的に抑える
「制度については理解できても、どれくらい自分の生活に良い影響があるのか想像がつかない」
ということもあると思います。
実は奨学金返還を一時的にお休みしたり減額することは、家計管理の基本である「固定支出の削減」を擬似的に実現できるので影響は特大!ですよ。
家計の見直しの基本は「固定支出の削減」から
「毎月赤字の危機」という家計の場合、まず初めにどこから見直すべきなのでしょうか。
貧乏な人ほど陥りがちなのが「変動支出」の見直しから始めてしまう罠です。
たとえば光熱費の節約のためにエアコンの利用をギリギリまで我慢してしまったり、
食費の節約のために安くてお腹の膨れるものばかりで偏ってしまったりなどです。
これらは毎日・毎月、自分の心と体の健康を犠牲にして一時的な節約をしているに過ぎません。
日々節約を気にしながら過ごすことは意外と精神のリソースを使いますし、
エアコンの我慢も偏った食事も不健康に繋がり、結果的に医療費で高く付いてしまったりします。
もちろん毎日節約できるところはしたほうが良いですが、
その前に「固定支出」を見直す方が削減しやすく心身も削られません。
返還猶予や減額返還で「奨学金返還」という固定支出を一時的に減らせるのであれば、
自分が十分に稼げるようになるまで、心身ともに楽に過ごせるようになります。
固定支出が減ったら自己投資できるかも
仮に3万円の返還が毎月必要だったのに対して、
一時的とはいえそれが無くなることを考えてみてください。
その3万円があれば、何ができるようになるでしょうか。
暑い日にエアコンを我慢せず適切に利用して熱中症を防げたり、
少し割高でも栄養バランスの取れた食事を摂ることで、生活習慣病や風邪の予防に繋がったりします。
もしかしたら2万円ずつ貯金して数カ月後に良いパソコンを購入して、自己投資したりもできるかもしれません。
買ったパソコンで勉強して、資格を取ったりスキルを身に着けたら収入も上がるかもしれませんね。
返還猶予や減額返還の利用のために少し手続きの時間や手間を取るだけで、
上記のようなメリットを享受できるので利用しない手は無いと思います。
最終的に全額返還することは前提ですが、苦しければ無理せず利用しましょう。
返還猶予・減額返還はいつまで利用する?
ここまでで「申請しようかな」と思えていても、具体的にいつまで利用するのが良いのでしょうか。
FP的視点で検討していきますので、参考にしてみてください。
返還猶予は最長10年・減額返還は最長15年
いつまで利用するか、の前に「いつまで利用できるか」をご紹介します。
返還猶予については、通算で10年(120ヶ月)まで、
減額返還の場合は、通算で15年(180ヶ月)まで利用可能です。
最初から全期間使いきってしまうことを前提にするよりは、数年分期間を残しておいて返還を再開するほうが、何かあった時に再度利用できますので安心だと思います。
あまりおすすめはしませんが、返還猶予を10年分使い切ってしまったとしても、その後に減額返還にして15年使うということも一応可能です。
勧められない理由は、単純にデメリットである完済までの期間が非常に長くなるからです。
返還プランをライフプランと一緒に考える
ライフステージによって、収入・支出が大きく変わります。
将来やりたいことや、何歳ごろの結婚や子どもの出生なのかも考える必要があります。
☆おすすめプラン例
まだ独身の場合、収入アップを目指して自己投資などのために3年ほど返還猶予を利用
↓
収入アップが実現したら、2年ほど満額の返還に戻す
↓
結婚することになったら返還猶予か減額返還を利用して、浮いたお金を婚姻費用に回す
↓
家計に余裕が生まれたらなるべく早く満額の返還に戻す
↓
子どもが生まれて収入が減り支出が増えて厳しくなったら、減額返還を利用する
↓
保育園などに子どもを預けられるようになったら、勤務時間を増やすなどして満額の返還に戻す
結婚と出産は、非常に大きな支出が待っています。
どれだけ節約しても、特に出産に関しては削れる支出が限られてきてしまいます。
しかも家族が増えるので、継続的に支出が増えます。
可能な限り、子どもが生まれるまでに自分の収入を向上・安定させておいて、
理想としては更にある程度の貯蓄を用意しておくと、収入が減っても返還を続けられます。
とは言え、職種や業界によって収入の上がり幅に限界があったりもするので、
無理せず小出しに利用して行くのがベターではないでしょうか。
また、このパターンで行くならマイホームはできれば控えたほうが良いと思います。
毎月8万円前後の住宅ローン支払いが35年続くので、奨学金を満額返還し続けてなお余裕がある場合に初めて検討するのが好ましいのではないでしょうか。
家計に関わることなので、パートナーとの相談も忘れずにしてくださいね。
先のことなんて考えられない!
という場合はひとまず返還猶予制度を利用して、心の余裕を持てるようにしましょう。
自分の代わりは他にいませんから、まずは健康第一です!
まとめ
- 返還猶予は奨学金の返還を一時的にお休みする制度
- 減額返還は奨学金の返還金額を一時的に減らせる制度
- 返還猶予と減額返還のデメリットは完済までの期間が伸びること
- 返還猶予や減額返還で固定支出を一時的に抑える
- 固定支出が減ったら自己投資
- 返還猶予は最長10年・減額返還は最長15年である
- 返還プランをライフプランと一緒に考える
うまく利用すればとっても便利な返還猶予・減額返還制度。
まだ使っていないという方は、検討する価値は大いにありますよ!
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