【実録】協会けんぽで傷病手当金を申請してみた

お金

こんにちは!磯瑞ひよりです。

「傷病手当金を受給したいけど、手続きや申請が難しそう…」
と手が止まってしまうこともあるのではないでしょうか。

ひより
ひより

筆者も過去に申請した際、
「なんだこの面倒な手続きは!?」
となったのをよく覚えています…

そこで今回は

  • どのような手順で申請をするのか
  • 申請のための書類の書き方
  • 必要な添付書類は何か
  • いつごろ振り込まれるのか
  • スムーズに申請するポイント

などを解説していきます。

ちなみに、先日実際に傷病手当金が振り込まれたばかりなので、2021年7月下旬時点での最新の情報をお届けできると思います。

加入している健康保険によって申請方法が異なる場合があります。
本記事では加入者が多い協会けんぽの例で説明いたします。

傷病手当金の制度詳細についてはこちら↓

前提:傷病手当金申請の前にやっておくこと

傷病手当金は、働かなくてもある程度のお金がもらえる制度ですが、
何もしなくてももらえるわけではありません。

申請を検討してから振込まで最短で2か月くらいはかかりますので、なるべくスムーズに進められるように事前準備を怠らないようにしましょう!

対象の傷病での初診を終えておく

「傷病手当金」ですので、ケガや病気でお仕事を休んでいて、治療しているということを証明しなければなりません。
必ず休む初日までに初診を終えておきましょう。

体裁としては

  1. 業務外でのケガや病気が発生
  2. 病院にて初診を済ませる(会計時に健康保険証を提示)
  3. 仕事を休んで治療に専念する
  4. 定期的に通院して経過を見ながら治療する
  5. 3以降の休んでいる間の生活を健康保険が保障する→傷病手当金

という流れです。

調子が悪くても病院に行っていなければ、
休んでいるのが治療に専念するためかどうかも客観的に判断ができません。

少しでも不調を感じたら、必ず早めに病院へ行っておきましょう。

勤務先の人事や総務などの担当者に傷病手当金受給の意思を伝える

次に自身の勤務先の担当者へ、「傷病手当金を受給したい」と申し出ましょう。

「健康保険がこちらにお金を払ってくれるだけなのに?」

と思うかもしれませんが、実は受給には企業の証明も必要になります。

また、企業によっては顧問契約している社会保険労務士を通して申請することもありますので、勝手に自分だけで申請することは避けましょう。

社会保険労務士を通して手続きをすることで少々時間がかかりますが、
不備(もしくは審査で突っ込まれそうなこと)などがあったら、
申請前に準備しなおせるメリットがあります

親切な企業だと、傷病手当金の制度の説明から用紙の準備までしてくれたりもします。

傷病手当金の初回申請

事前の準備を終えて、ここからは実際に申請をしていきます。

ほとんど難しいことはありませんが、気をつけるポイントがいくつかあるので注意して申請書を記入しましょう。

必要書類は全部で4種類

  1. 被保険者記入用(振込先指定口座)
  2. 被保険者記入用(申請内容と確認事項)
  3. 事業主記入用(賃金支給状況など)
  4. 療養担当者(=医師)記入用

以上、4種類の支給申請書を揃えていきます。

事業主記入用は勤務先サイドで対応してくれますので、自分で用意するのはそれ以外の3種類です。

自分で記入する書類は2種類

まずは自分で記入する書類から見ていきましょう。

今回は手書き用の書式を使って説明していきますが、PCで入力したものを印刷して申請することもできます。

手書き用はこちら→申請用書式(手書き用)
手書き用記入例はこちら→手書き記入例
入力用はこちら→申請用書式(入力用)
※協会けんぽ公式書式が開きます

被保険者記入用(振込先指定口座)

1つ目の振込先指定口座などを記入する書類がこちら↓

1/4ページ目 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/honbu/g2/cat230/2106/k_shoute2106.pdf

手元に被保険者証を用意して、左上の記号と番号から、振込先指定口座名義まで記入します。

被保険者名義=自分の口座であれば、右下の区分を1と記入してください。

自分名義ではない口座への振込を希望する場合は、下部に追加で記入する部分があります。

1/4ページ目 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/honbu/g2/cat230/2106/k_shoute2106.pdf

※今回は自分名義の口座で受け取るという前提で進めます。

被保険者記入用(申請内容と確認事項)

次に、申請内容を詳しく記入する2枚めに入っていきます。

2/4ページ目 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/honbu/g2/cat230/2106/k_shoute2106.pdf

左上の被保険者氏名=自分の名前を書きます。

申請内容の枠内で気をつけるポイントが、傷病名と初診日を自己判断で書かないということです。

この傷病名と初診日は、4枚目の紙に医師に記入してもらった後、医師が書いた紙と同じ内容になるように書きましょう。

真ん中の病気かケガの欄は、ご自身でわかっている場合は記入してOKです。

4番目の「療養のため休んだ期間」は、待機期間などは考慮せずに本当に仕事を休んだ期間を記入します。
有給休暇や土日祝などの公休日も含めます。

この休んだ期間は、医師に「○月○日~○月△日で休みました」と必ず伝えてください。

5番目の仕事内容については、記入例のPDFに例が載っています。

お仕事の内容は、「事務員」などではなく「経理担当事務」「自動車組立」「プログラマー」など具体的にご記入ください。

https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/honbu/g2/cat230/2106/k_shoute_guide2106.pdf

どのように記載するか悩んだら、勤務先の担当者か健康保険に問い合わせて確認してみましょう。

2/4ページ目 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/honbu/g2/cat230/2106/k_shoute2106.pdf

1番目は、休んだ期間のうち有給休暇などでなんらかのお金をもらえていた日があった場合に申告する欄です。

有給休暇も療養のために休養している日としてカウントが認められていますが、
傷病手当金の日額より上回っていたら、その日の分は傷病手当金の支給がありません。

もし下回っていたら、差額分が傷病手当金として支給してもらえるので、ここは正確に記入するようにしましょう。

報酬の金額がわからない場合は、勤務先で給与計算を対応している部署へ確認します。

2/4ページ目 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/honbu/g2/cat230/2106/k_shoute2106.pdf

次の「障害年金/障害手当金」については、受給していなければ左上の欄に3を記入しましょう。

受給中もしくは請求中の場合は、左側の説明に沿って必要事項を記入してください。

2/4ページ目 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/honbu/g2/cat230/2106/k_shoute2106.pdf

3つ目は健康保険の資格を喪失した方=既に退職してしまっている方が記入する欄です。

在職中の場合は空欄でOKです。

こちらも受給中もしくは請求中の場合は、左側の説明に沿って必要事項を記入してください。

2/4ページ目 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/honbu/g2/cat230/2106/k_shoute2106.pdf

最後は労災についてです。

傷病手当金は「業務外での私傷病」が対象です。
業務に関連した傷病への支援となる労災保険の対象となっていると、傷病手当金を受給できません。

受給したことがなければ、左上の欄に3を記入しましょう。

受けたことがある・受けている・請求中のどれかの場合は、左側の説明に沿って必要事項を記入してください。

これで自分で書く申請書類は以上です。
お疲れ様でした!

医師に記入してもらう書類は1種類

次に準備をするのが4枚目の「療養担当者記入用」です。

こちらは該当のケガや病気の治療を対応してくれている主治医に、傷病手当金受給希望の旨を伝えて記入を依頼しましょう。

書類作成料として300円自費で支払う必要がありますが、医師から記入を断られることはありませんので安心してください。

書類作成の時に医師にも聞かれますが、該当のケガや病気のせいで仕事をお休みした期間を正確に伝えましょう。

長期でお休みしている場合は、1ヵ月単位で提出することを推奨されています。

傷病手当金の申請は、給与の支払い有無について事業主の証明が必要になりますので、1ヵ月単位で給与の締切日ごとに申請されることをお勧めします。

https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g6/cat620/r307/#q5

例えば11月15日から6か月の休職を予定している場合、
初回の申請は11月15日~11月30日(末日)、
2回目以降は12月1日~12月31日、1月1日~1月31日…というように作成します。

これは事業主側の給与計算締めにかかわるので、給与への反映が「月末締め」ではない場合は、その締め日に応じて変更することになります。

もし不安な場合は、勤務先の人事や総務の担当者へどのように記載するのが好ましいか確認してみましょう。

確認したうえで医師に申請する休業の期間を伝えます。
自分の書類もその期間に合わせましょう。

また、依頼した当日中に書類を受け取れないということもあります。
急いでいる場合は、受付の人に事情を説明して診察なしで「書類だけでも後日受け取れないか」と相談してみてください。

無事受け取ることができたら、書いてある傷病名と初診日を確認して、自分で記入する二枚目のほうに同じ内容を書きましょう。

これで勤務先へ送る書類の用意は完了です。

残りの1種類は勤務先企業が記入する

申請書類のうち、3種類が用意できたら勤務先へ郵送します。

残りの1種類は事業主記入用となっているので、事業主側ですべて書類をそろえた状態で健康保険組合へ提出してくれます。

無事提出が完了すれば、健康保険側での審査が始まります。
そこで認められれば初回の傷病手当金が指定の口座に振り込まれます。

不備や確認事項が追加で発生しなければ、1か月以内には振り込まれると思います。

もしそれ以上時間がかかっているようなら、事業主か健康保険へ状況を問い合わせてみましょう。

傷病手当金の2回目以降の申請

無事初回の傷病手当金が振り込まれたら一安心ですが、
自動的に毎月振り込まれるようにはなっていないので、定期的にその都度申請をする必要があります。

また、在職中で休職している場合と退職している場合で二回目以降の手続きが変わりますので、いくつかの注意点に気を付けて申請を続けましょう。

基本は初回と同じ手続きをする

1枚目と2枚目の自分で記入するものと、4枚目の医師に記入してもらう書類は申請には必須です。

退職してもしてなくても上記のものは共通で必要なので、毎回きちんと用意しましょう。

申請するタイミングですが、大抵は1か月に一度の頻度です。

一か月以上の期間で申請も可能ですが、受給が認められるまで時間がかかる可能性があります。

振り込まれるまでもその分の時間が空いてしまいますので、月に一度申請するスケジュールを先に組み立てることをおすすめします。

勤務先へ2回目以降の提出先を確認しておく

申請書類をそろえた後の提出先が、在職中と退職後で異なります。

在職中は勤務先へ、退職後は健康保険組合へ郵送しましょう。

在職している(休職中など)場合

休職中だとしても、在職している限りは勤務先へ提出することになります。

なぜなら、勤務先から給与や手当などが発生する可能性がゼロではないからです。

もし給与や手当が発生した場合、どのような根拠でいつにいくら支給した、という証明を事業主が健康保険へ提出する必要があります。

自分で記入する2種類と医師に記入してもらう1種類だけでは、支給申請が2回目以降であっても申請書類が不足している状態になってしまいます。

したがって、退職していなければ原則は勤務先へ提出するようにしましょう。

退職した場合

退職してしまった場合は、退職日の翌月までは勤務先を通して提出することになります。

それ以降に申請し続ける場合は、事業主記入の分以外を健康保険へ直接郵送して提出します。

退職日の翌月までかどうかは、勤務先の勤怠管理の方法によって変わりますので、勤務先の担当者へ確認してください。

退職日直後は勤務先を通す(勤務先による)理由が、
たとえば前月末までの勤怠をもとにその月の給与計算をしている企業であれば、当月の給与支給日まで(=つまり退職日の翌月の給料日まで)はその人が在職している期間をもとにして給与を決定しているからです。

この締め日が企業によって異なるため、勤務先へ確認するのが一番確実です。

1ヶ月に1回以上の通院は必須

傷病手当金の受給を続けるためには月に一度以上の通院が必須です。

これは「ケガや病気のために仕事を休んで療養に専念するための生活保障」という目的から外れないために設けられている条件です。

退職後に1か月以上の通院間隔が空いてしまった場合、傷病手当金の受給要件を満たすことができず、それ以外は受給できる状態なのに支給が打ち止めになってしまいます。

※健康保険の公式サイトには通院について明記されていませんが、
筆者は退職後の受給中に、通院間隔が1か月を超えたとき「支給できない」と健康保険側の担当者に言われました。

傷病手当金の支給(振込)について

無事書類も揃って申請が完了したら、あとは振り込まれるまで待つのみです。

特に不備がなければ一か月以内には振り込まれますし、同じ傷病名での2回目以降の申請であれば最短で2週間程度で振り込まれることもあるようです。

1か月以上音沙汰がない場合は、一度健康保険へ状況を問い合わせてみましょう。

スムーズに申請するポイント

一度申請してみてしまえば、書類をそろえて提出するだけなので難しく感じることはなくなります。

しかし万が一不備などがあれば振込まで時間がかかってしまったりするので、気を付けておきたい要点をおさらいしておきましょう。

休み(待機期間)に入る前に初診を済ませておく

傷病手当金の受給をするためには「4日連続して休んで待機を完成させる」ということが必要です。

その休んだ4日間が、本当に「申請している私傷病の療養のための休み」かどうかというのを客観的に判断する要素として

・初診をいつ済ませているか

という点が重要です。

もし初診日がその待期期間より後だった場合、
「申請している私傷病の療養のための休み」であると認めてもらえない可能性があります。

待期期間より前、もしくは待機初日に初診を済ませておくと一番スムーズです。

継続して同じ病院に通って書類を書いてもらう

引っ越しなどのやむを得ない事情がない限り、継続して同じ病院に通って書類を書いてもらうほうが良いでしょう。

転院したというだけで傷病手当金の支給が必ず打ち止めとまではいきませんが、
審査に時間がかかったり、状況によっては不支給となってしまうことがあります。

別の病院で療養担当者記入用の書類を書いてもらうことはできますが、

  • 対象の傷病名
  • 発症の原因
  • 傷病の経過etc…

などの内容を記入するので、初診で対応した医師や病院でないとわからないことも多いです。

やむを得ない事情で転院する場合は、かかっている医師や病院へその旨を伝えてください。

また、健康保険へも予め連絡しておきましょう。

同じ傷病で申請し続ける

傷病手当金は

「この傷病があるから働かずに療養に専念しなきゃいけないです」

という人に対して支給する生活保障です。

途中で傷病が変わってしまったら、すでに申請している内容とは変わってしまうので、改めて初回の支給申請をすることになります。

在職中であれば対応できるかもしれませんが、退職してしまっていたら基本的に新たに申請することができません。

特別な事情があるということであれば、医師と相談したうえで健康保険へ問い合わせてみましょう。

この辺りを心得ている医師も多いので、大抵は同じ傷病で記入を続けてくれます。

退職日当日は出社しない

休職をしても回復しなければ退職する、という流れになることもありますが、退職日当日は絶対に出社しないようにしましょう。

退職日に出社してしまうと
「療養の必要がないのでは?」
と判断されて傷病手当金が打ち止めになってしまうかもしれないからです。

荷物の回収などは、退職日より後にしましょう。

まとめ

  • 必要書類は全部で4種類
  • 自分で記入する書類は2種類
    →被保険者記入用(振込先指定口座)
    →被保険者記入用(申請内容と確認事項)
  • 医師に記入してもらう書類は1種類
  • 残りの1種類は勤務先企業が記入する
  • 勤務先へ2回目以降の提出先を確認しておく
    →在職している(休職中など)場合
    →退職した場合
  • 1ヶ月に1回以上の通院は必須
  • 傷病手当金の支給(振込)は申請から1か月以内
  • スムーズに申請するポイント
    →休み(待機期間)に入る前に初診を済ませておく
    →継続して同じ病院に通って書類を書いてもらう
    →同じ傷病で申請し続ける
    →退職日当日は出社しない

傷病手当金は注意点が多いですし申請の手続きはやや面倒ではありますが、非常に心強い制度です。

経済的・精神的なゆとりを得るために、がんばって準備してみてくださいね!

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